股関節グループ

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研究

伊藤浩教授、谷野弘昌特任講師、佐藤達也医員、西田恭博医員

整形外科学教室股関節班では
 (1)股関節のバイオメカニクス・人工股関節の開発
 (2)人工関節周囲骨溶解の生化学的研究
 をテーマに研究を行っています。

股関節のバイオメカニクス・人工股関節の開発

工学的アプローチを用い生体股関節・人工股関節の研究を行っています。具体的には生体股関節の安定性評価、軟部組織テンション測定デバイスの開発、クロスリンクポリエチレンの評価、人工股関節脱臼メカニズムの解明、インプラント形状のコンピュータ解析、骨頭真球度の測定、耐摩耗人工股関節の開発[1-7]などを行っています。
我々の研究を基に2002年より新しいハイブリッド型の人工股関節(4-U;ナカシマメディカル)が開発され現在まで700例以上で使用されています。
また、2007年から文部科学省の橋渡し研究支援推進プログラムに選ばれ「ゆるむ事のない人工関節開発へのブレークスルーの橋渡し研究」というシーズを推進しています(プロジェクト責任者;松野丈夫教授)。このプロジェクトでは人工股関節のゆるみを防止する新材料を開発中で数年のうちに新材料を取り入れた新しいセメントレス人工股関節インプラントを臨床導入すべく研究を進めています。
更に2008年から先端医療開発特区(スーパー特区)の「生体融合を可能とする人工関節の患者別受注生産モデルの構築」にも含まれています。
北海道大学情報科学研究科、兵庫県立大学工学部、酪農学園大学獣医学部、京都大学工学研究科、ナカシマメディカル、スタンフォード大学、フロリダ大学、BioMotion Foundationと共同研究を行っています。

The proximal hip joint capsule and the zona orbicularis contribute to hip joint stability in distraction. Ito H et al., J Orthop Res. In Press
Intraoperative joint force measuring device, system and method. Banks SA and Tanino H., US Patent US7458989B2
In vivo femoral head damage and its effect on polyethylene wear. Ito H et al., J Arthroplasty. In Press Association between dislocation, impingement, and articular geometry in retrieved acetabular polyethylene cups. Tanino H, et al., J Orthop Res. 25, 1401-7, 2007
Three-dimensional computer-aided design based design sensitivity analysis and shape optimization of the stem using adaptive p-method. Tanino H, Ito H, Higa M, et al., J Biomech. 39, 1948-53, 2006
The sphericity of the bearing surface in total hip arthroplasty. Ito H, Minami A, Matsuno T et al., J Arthroplasty. 16, 1024-9, 2001
Reduction of polyethylene wear by concave dimples on the frictional surface in artificial hip joints. Ito H et al., J Arthroplasty. 15, 332-8, 2000

人工関節周囲骨溶解の生化学的研究

高齢化社会の出現に伴い、股関節、膝関節など四肢関節への人工関節置換術手術数は年々増加しており、日本でも年間約4万件の手術が施行されています。人工関節は恒久的な耐性を獲得している訳ではなく、その耐性年数は10〜20年程度と言われ、人工関節の再置換術が必要となります。欧米では人工関節再置換術による医療保険費のコストの増大や、患者のADLの低下が大きな問題として認識されており、そのための基礎研究が盛んに行われています。人工関節再置換術が必要とされる主な原因として、人工関節周囲の骨吸収が進むために生じる弛み(人工関節周囲骨融解)が挙げられます。人工関節は生体材料で関節を形成し関節運動を行っていますが、その摺動面からポリエチレン、セメントなどの数マイクロメートルの微小な摩耗粉が発生します。その摩耗粉をマクロファージが貪食し、細胞内シグナル伝達を経て種々の炎症性サイトカインが分泌されます。そのため人工関節周囲で炎症が進み、マクロファージから破骨細胞への分化が促進します。結果、人工関節周囲の骨吸収が進み、人工関節周囲骨融解が生じると言われていますが、その詳細なメカニズム及び治療法は現在も解明、確立していません。私たちは人工関節摩耗粉に由来する人工関節周囲骨融解について、マクロファージから破骨細胞への分化に着目した研究を行っています。破骨細胞分化にはRANK/RANLK経路及び転写因子NF-kBの活性化が重要であると言われ、これらのシグナルが人工関節周囲骨融解においても重要ですが、私たちは新しい知見としてMAP Kinase Familyの1つであるJNK及びNFATが人工関節周囲骨融解において重要な役割を果たしている事を報告し、アメリカ、ワシントン大学と共同で研究を続けています。

Nfat2 is an essential mediator of orthopedic particle-induced osteoclastgenesis. Y.Yamanaka, Y. Abu-Amer et al., J Orthop Res, 26, 1577-1584, 2008
The map kinase c-jun n-terminal kinase mediates pmma-induction of osteoclasts. Y.Yamanaka, JC Clohisy et al., J Orthop Res, 24, 1349-1357, 2006
Inhibition of ikk activation through sequestering nemo, blockes pmma-induced osteoclastogenesis and calvarial inflammatory osteolysis. JC Clohisy, Y.Yamanaka et al., J Orthop Res, 24, 1358-1365, 2006
Inhibition of inflammation bone erosion by constitutively active stat-6-through blockade of jnk and nh-kb activation. T. Hirayama, Y. Yamanaka, Y.Abu-Amer et al., Arthritis&Rhumatism, 52, 2719-272 2005