股関節グループ(患者様向け)

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ここでは主に股関節の様々な症状・痛みに対して、外科的な手法による治療方法をご紹介いたします。症状によって治療法は様々です。最近では入院期間が短く済む治療法も確立されています。ここで掲載されている内容についてご不明な点がありましたら、いつでもご相談ください。

骨切り手術とは?


股関節痛の原因が臼蓋形成不全の時には、これを矯正することで痛みや病気の進行を抑えることができます。
一般に行われている矯正は、骨を切って形を治すことから、骨切り(こつきり)術といわれています。

骨切り手術の最大のメリットは、痛みを取ることもさることながら、股関節の悪化を阻止することにあります。
今はまだ、そんなに痛くないし、手術は考えられない・・という場合も、10年先、20年先を考えると手術をした方がよい場合も出てきます。
関節がそれほど悪くない時期に骨切り手術を行うことで、将来の人工股関節を避けることも可能です。

我々は、RAO(寛骨臼回転骨切り術)、キアリ骨盤骨切り術、棚形成術、ソルター骨盤骨切り術といった術式を中心に、幼児期~青壮年期まで各年代に最適な骨切り手術を選択して行っています。

股関節が痛いという方は、自分の体がどうなっていくかということも含めて、一度、ご相談にいらっしゃってはいかがでしょうか?

 
 

人工股関節置換術

人工股関節置換術とは、股関節痛が強く投薬や杖などを利用しても満足な生活が送れない場合、壊れてしまった太もも・骨盤の骨を取り除き、人工物(インプラント)に取り替える治療法のことをいいます。痛みの原因となる部分が取り除かれますので、術後、劇的に痛みから解放される場合が多いです。痛みが無くなると、歩き方や歩ける距離も改善します。軽いスポーツなら復帰も可能です。
長期的に見れば、膝や腰にかかる負担も減らせる可能性があります。

術後、安心して生活を送るためには、気をつけていなければいけないことが幾つかあります(※詳しくは人工股関節の注意点をご覧下さい。)が、身についてしまえば、ストレスとなることはそう多くないでしょう。

 
 

4U 人工関節について術

最近は、日本でも多くの施設で人工股関節手術が行われるようになり、その数は年間8万件ともいわれています。

手術の際には、インプラントを使用しますが、現在、製造販売され国内で承認・使用されているインプラントのほとんどは、国外、特に欧米の製品です。
私も以前は欧米の製品を使用していましたが、日本人の体格や骨格には、うまく適合しない場合が度々あり、日本人向けの人工股関節の必要性を感じておりました。
また、人工股関節を長持ちさせるには、骨頭とライナー間の動きによって発生する磨耗粉を減らす必要があります。摩耗を減らすには、骨頭とライナーが完全な球形に近づくのが理想です。今までの製品を調べると、製品ごとのばらつきが大きく、加工精度に問題があることがわかりました。
そんななかで完成したのが4-U人工股関節です。4-U人工関節は旭川医大、北海道大学工学研究科、国内の整形外科メーカー、重工メーカー、医療卸メーカーによって日本人用にデザインされた人工関節です。
以下のような特徴があります。
CTで撮影した400人以上の日本人の股関節の形態を解析し、航空機設計にも用いられるコンピュータを用いたデザイン計算によって設計され、日本人に最適となる形態の人工関節を作りました。
人工関節の骨頭を、精密な機械加工の上で、日本人の熟練工が骨頭の最終加工を行いより精密な骨頭となるようにしています。
さらには、私の手術の経験から手術をする医師が使いやすいように手術器械も工夫を凝らしました。使いやすいということは、手術時間の短縮やミスを回避することにもつながり、最終的には患者さんのリスクを軽減することになります。この機種の目標は、再置換ゼロです。高い目標に向けて、今後もさらに改良を続けていきます。

 

4U CLS 人工関節について術

只今準備中です。今しばらくお待ち下さい。
 
 

人工股関節再置換術

人工股関節は、経年的にインプラントが磨耗したり、ゆるみが出てくることがあります。また、感染や破損により交換が余儀なくされる場合もあります。人工股関節を骨を傷つけずに抜去したり、1回目の手術によって少なくなった骨の上に人工関節を設置することは、かなり習熟した技術を要します。
当院は今までに、多くの相談を受け、数多くの再置換術を行ってきました。人工関節の術後の経過が思わしくない方は、是非、一度ご相談ください。
 
 

MIS人工股関節術

通常の人工股関節手術よりも小さな傷口から行う手術です。
通常、15センチ程度の傷で行う手術(図1)を、10センチ以下の傷(図2)で行います。
傷が小さい分、体に優しいと考えられた方法ですが、実際の成績(人工関節の寿命や出血量などの合併症の頻度)はあまり変わらないといわれています。

美容のことを考えると、当然、キズは小さいほうが好まれるのですが、
骨の変形が強い人・肥満の人は、小さい傷から人工関節を入れるのが難しくなり、手術の時間が長くなったり、感染や出血なども増える傾向にあります。
キズが小さくなることによって、手術が難しくならない・メリットがあるという場合に選択できると考えていただけるといいでしょう。
我々は、MIS専用の工具を作り、できるだけ上手に人工股関節を設置するように心がけていますし、幸いなことに、MISのトラブルというのは今のところ経験しておりません。
患者様のご希望にできるだけ沿う様に手術を行っていきますので、ご相談下さい。

 
 

人工股関節の注意点術

人工股関節は、痛みの改善には非常に優れた手術ですが、気をつけなければならない点もいくつかあります。

しゃがむ動作・脚をひねる動作ができない術

これは、人工股関節の脱臼を防ぐためです。
人工股関節は、ボール(凸部)とソケット(凹部)からなり、この部分で股関節は動くことになります。しかし、過度に動かすとボールがソケットから飛び出し、はまっていたものが外れてしまいます。これが人工股関節脱臼です。
日常の動きの中で、しやがむ動作や脚をひねる動作が、過度な動きに相当します。
外さないで生活するコツがありますので、リハビリや生活動作訓練を通じて覚えていきます。

寿命がある術

人工関節は、ボールとソケットの部分で動いています。この動きが日々繰り返されていると、徐々にインプラントの磨耗が起きて、この摩耗が原因で骨が少しずつ溶けてくることがあります。骨が溶け出すと、インプラントを支えることができなくなってしまいます。これがいわゆる寿命(耐久性)です。
現在の人工股関節の耐久性は20年~30年といわれています。骨が溶ける初期は、まったく症状がありませんので、気づいたときには、骨がかなり壊れてしまっていたという方もいますので、定期的な診察が必要です。

ばい菌がつくことがある術

手術中にばい菌が入ったり、あるいは、術後、長期間経過してからも、虫歯や肺炎などから血中をたどって菌がつくことがあります。ばい菌感染の危険性を減らすために、手術前には、これらの治療を前もってしておくことをお勧めします。