病気と治療

股関節の治療と病気一覧

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臼蓋形成不全・先天性股関節脱臼症(発育性股関節形成不全)(きゅうがいけいせいふぜん・せんてんせいこかんせつだっきゅう)

この部分は、文字通り臼のように半球状にくりぬかれた形をしています。
臼蓋の深さが浅かったり、急峻な形状をしていたりすると、体重を十分に支えることができず、股関節が早く劣化してきます。
また、力学的な不安定性から関節が脱臼する方向に力が加わるために、さらに、体重を支えづらくなるという悪循環に陥ります。これを臼蓋形成不全といいます。

また、出生時から股関節が脱臼している場合があり、これを先天性股関節脱臼といいます。
歩行開始前の早期に治療を始めたほうが治りはよいのですが、歩行を開始する1才くらいになって歩き方がおかしいために気づかれる場合も多くあります。
3ヶ月検診時に任意ですが股関節検診がありますので、そこで見逃さないことが大事です。

主な治療法

当院では、一般的な装具による治療の他、牽引療法、難治性の場合には、手術を行って治療することも可能です。
人工股関節置換術
4U 人工関節
MIS人工股関節
骨切り手術

変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)

股関節の軟骨が劣化しすり滅ってしまう状態です。徐々に強くなる関節の痛みと、痛くてしゃがめない、走れないなどの運動時痛が主症状です。
日本人で股関節の変形性関節症を発症される方は、生まれたときから股関節の脱臼や形成不全がある場合がほとんどです。
これらはゆっくりゆっくり悪化していきますが、幸い早い段階で見つかった場合、関節破壊を予防し、人工股関節に至らなくてすむ治療、骨切り手術があります。当科では、複数の手術の中から患者さんに最適の手術を選んで行います。
破壊されてしまった股関節には、現在のところ人工股関節手術がもっとも有用です。
当科では、通常の人工股関節の他に、最小侵襲での人工股関節手術(MIS人工股関節)が可能です。

関節症は、お年寄りだけの病気ではありません。股関節に異常を感じたことがある方は、一度、ご相談ください。

大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)

大腿骨頭の骨に流れる血流が何らかの原因で途絶えてしまい、組織が死んでしまう病気です。なぜ血流が途絶えてしまうのか、まだはっきりと解明していませんが、アルコールを多く飲まれる方、ステロイド薬を大量使用する治療法をうけた方は、この病気になりやすいといわれています。このような誘因が全くないにもかかわらず、発症する方もいらっしゃいます。

組織が壊死しても最初は無症状です。しかし、骨が徐々にもろくなり、体重を支えきれなくなると骨折して陥没します。こうなると痛みが出てきます。骨は段階的につぶれていくために、痛みも、段階的に悪くなることが多いです。最終的には、変形性股関節症へと進行します。

主な治療法

骨は体重がかかることでつぶれていきますので、治療としては、壊死した範囲を体重がかからない場所にずらす骨切り術を行います。壊死範囲が広く、骨切りで対応できない場合、人工股関節手術の適応となります。

骨切り手術
人工股関節置換術
4U 人工関節
MIS人工股関節

関節リウマチ(かんせつりゅうまち)

関節リウマチは、関節に慢性的に炎症を引き起こし、徐々に関節を破壊してしまう疾患です。一般に、手指、足趾(足の指)、手・足・膝関節などが炎症を起こしやすいといわれていますが、股関節は比較的頻度は少ないといえるでしょう。

リウマチによる関節炎の治療は、投薬による炎症のコントロールが中心です。投薬でコントロールがつかず、また、関節破壊が進行して痛みが取れない場合、手術を行うことになります。股関節の場合は人工関節が適応となります。股関節にリウマチが発症した場合、大腿骨頭が骨盤の内方に陥入するような特殊な変形を来します。この変形があまりにもひどくなると人工関節の設置は非常に難しくなります。リウマチによる疼痛の強さ・骨破壊のスピード・変形の程度を総合して手術を決定することになりますが、変形がひどい場合は、早めの手術も念頭に置いたほうがいいでしょう。

リウマチの手術を行う際は、内科・麻酔科・整形外科・リハビリテーション・看護・介護等の連携が重要になってきます。信頼のできるスタッフのいる施設で手術を受けるのが一番でしょう。