病気と治療

下肢の治療と病気一覧

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骨切り手術(こつきりしゅじゅつ)

内反(O脚)変形を呈した、中程度の変形性関節症の患者さんがうける手術の一つです。O脚では、荷重(体重)は痛みのある内側に集中しています。
これを、軽度の外反(X脚)に変えることで、荷重を外側に移し、疼痛を改善させる手術です。
自分の関節を温存することができますが、骨切り部分の骨が、完全に骨癒合するまでに時間がかかります。
入院は4-6週間です。

人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)

(TKA:Total Knee Arthroplasty)
薬や注射などが効かない変形性関節症や関節リウマチの患者さんがうける手術の一つです。(程度がすすんでいない変形性関節症では自分の関節を温存した骨切り手術を行っています。)

大学病院では年間約70件(2011年)、開院以来、800件以上の人工関節置換術を行ってきました。合併症の無い方は両膝を同日に手術をしています。最近では、以前に入れた人工関節が弛んでしまった為、再度入れなおす再置換術も増えています。
手術を決める前に、人工関節の悪い点、良い点などをお話しています。高齢の方や合併症をお持ちの患者さんも安心して手術を受けて頂けるよう、手術の前に詳しい検査をして頂きます。治療費の負担を減らす為、手術前に厚生医療の申請を行っています。現在の入院待機期間は、1〜2ヶ月くらいです。
人工関節の手術は、感染の危険を減らす為、特別な「バイオクリーンルーム」という手術室で行い、術者や助手は「無菌ヘルメット」をかぶって行います。手術の傷は8cm〜15cmで、ほぼ輸血をしないで手術が行えています。膝の変形を矯正し、よりバランスの良い正確な手術ができるよう、手術中は独自の器具を使用し、常に丁寧に行うことを心がけています。

術後は痛みに応じて、翌日より歩行訓練などを開始し、術後2〜3週で1本杖の状態で退院を目標にしています。両側の手術をした場合は、術後4週間を退院目標にしています。その後は定期的な外来通院で経過をみていきます。

前十字靭帯再建術(ぜんじゅうじじんたいさいけんじゅつ)

膝の前十字靭帯を損傷した患者さんがうける手術です。手術の利点、欠点を理解して頂いて、手術を組みます。
関節鏡という内視鏡カメラを使って手術をします。多くの場合は、膝の内側を通る腱(半腱様筋腱や薄筋腱)を採取し新しい靭帯として用います。骨に穴を開けて、この新しい靭帯を関節の中に通し、小さな金属で固定します。
手術が終了したら、装具をつけて、すみやかに歩行訓練とリハビリを開始し、1〜2週間で退院、外来通院でリハビリと定期診察を行います。我々のリハビリの特徴は、全員に同一のリハビリメニューというものを使わず、それぞれの競技種目や個人のレベルに応じてリハビリをすすめていることです。
競技種目によりますが、スポーツへの復帰はおおよそ10ヶ月以降です。手術をしても再断裂することがありますので、リハビリテーションメニューを守り基本運動動作を再学習することが重要です。

外反母趾手術、リウマチ趾変形手術(がいはんぼししゅじゅつ・りうまちあしへんけいしゅじゅつ) *趾-あし・し・の確認

外反母趾装具や靴、中敷き、足指体操などで効果が無く、疼痛や足裏のたこで支障をきたしている方に行う手術です。外反母趾の程度や、足全体のバランスを診察し、骨を切って変形を矯正します。
関節リウマチによる趾変形は外反母趾のみならず、さまざまな変形を伴いますが、変形により靴が履けない、足裏のたこや潰瘍ができて化膿しやすいなど、日常生活に支障をきたす場合は、変形を矯正する手術を行います。

関節リウマチ趾変形(足裏の潰瘍)の手術前/手術後

下肢変形矯正手術、下肢延長手術(かしへんけいきょうせいしゅじゅつ・かしえんちょうしゅじゅつ)

先天性疾患や骨折などによる下肢の変形や短縮に対して行う手術です。
そもそも骨には再生能力があります。例えば骨折を起こすと、その部分が治ろうとして、まず「仮骨(かこつ)」とよばれる軟らかい骨ができ、これが次第に硬くなって元のような硬い骨に治っていきます。このような骨の再生能力を利用して手術を行います。

手術では骨を切って骨折の状態を作り、骨折した隙間にできてくる「仮骨(かこつ)」をゆっくり延ばしていくことで、変形矯正や延長を行います(仮骨延長法)。創外固定器という器具を使って行い、骨が硬くなるまでこの器具をつけます。超音波治療や内固定金属を併用することにより、早めに創外固定を抜去できるような工夫もしています。
合併症として、延長に伴う痛みや関節拘縮、ピンのトラブルが起こることがありますし、延長した骨がつきにくいこともあります。